平成25年5月31日(金)
平成25年5月30日、地元新庄市にある「新庄あじさいロータリークラブ」の定例会で、当院歯科口腔外科医長の北畠健一朗医師が卓話を行いました。その一部を紹介します。
「口腔がん検診のすすめ」
一口に「がん」と言っても、肺がん、胃がん、肝臓がんなど様々ありますが、口の中にもがんはできます。
舌にできるがん、歯茎にできるがん、頬の粘膜にできるがん、舌の下にある粘膜にできるがん、上あごの粘膜にできるがん、そして唾液腺にできるがん、などです。
ただ、口腔がんの発生率は少ないです。
当院では年間延べ9,000人以上の外来患者さんを診察していますが、昨年度までの実績で口腔がんが発見された人は年間5〜6人です。
口腔がんの特徴として、自分で見たり触ったりして「がんかもしれない」と推測可能なことが挙げられます。
最初は、@口内炎のようなものができた、Aざらざらしている、Bあんまり痛くない、Cにおいがある(本当に少し甘いような、独特なにおいです)、D時々その部分から出血がある、Eかたい、F口内炎よりえぐれている、このような見え方、触った感じがあります。
これを放っておいてさらに進行すると、@首に硬いしこりがあり動かない、A口をあけると頬が突っ張り開かない、B下唇やあごの感覚がない、C舌が思うように動かせない・感覚がない、というところまでいきます。
こうなると治療が難しいこともあります。 ほとんどの場合ステージWです。
がんの種類にもよりますが、だいたい頭頸部がんの大多数はステージTからWまで1年ほどで成長します。
ステージWになったこれらのがんを治療する方法は、放射線治療、重粒子線治療などありますが、今のところ第一選択としては手術療法です。
再発を防ぐためがん周囲の組織まで切除するので、患者さんにとってはつらいことになります。
顔貌が完璧に元通りになることは困難なので、会社を辞めてしまう人もいます。
それだからこそ、早めに検診を受けて頂きたいのです。
自分で「変だな?」と発見できるがんなので、なおさらです。
見つけるのが早いほど、治療も楽だしスムーズにいきます。
また、口腔がんの原因になるようなもの(たばこ、飲酒、機械的刺激(口腔内を傷つけてしまう)、刺激の強い食事など)を遠ざけることも大事です。
(以上、卓話から抜粋)
舌を歯ブラシでこするのも、舌の清潔保持のためには良いということを教えてもらいました。
おもしろかったのは、たとえば歯ブラシを喉の奥まで入れてしまって「オエッ」となったときに出てくる胃酸も、実は舌の清潔(殺菌?)のためには良いだろう、ということでした。