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院長コラム

Vol.46 ♪霊柩車は行くよ♪を知っていますか

 先日ラジオからズンチャッチャーという昔風のメロディーに乗って、「霊柩車は〜」と聞こえてきました。これはいったい何だろうと調べてみると、作詞丘灯至夫(おかとしお)、作曲小林亜星、歌エノケソ(エノケンの愛称で知られる榎本健一さんのようなダミ声ですが全く別人です)の『霊柩車は行くよ』という歌でした。

 2008年発売されたCDに、『あの世はパラダイス』という歌と一緒に収録されています。こちらは、木魚のイントロに続いて「ナンマイダー、ナンマイダー」と始まる軽快な作品です。

 丘灯至夫さんは1917年福島県に生まれ、西條八十に弟子入りし、作詞の道に入ります。1963年には舟木和夫の「高校三年生」で日本レコード大賞を受賞し、「あこがれの郵便馬車」や「高原列車は行く」の他、「みなしごハッチ」「ハクション大魔王の歌」などのアニメソングも数多く生み出しています。まず詞があり曲は後につけるべきであると主張し、大衆が聞くだけでなく実際に歌うことができる、美しい日本を讃える歌を作ることをモットーとします。高齢になったら楽しみながらあの世に行ってほしい、死ぬことこは悲しいことではないと考え、この二つの歌は生まれました。

 私は高齢者を対象にして医療講演を行うことがあります。テーマは「死をどのようにとらえるか」ということです。「老いない」「病まない」「死なない」を当然と考える現代の風潮に逆らったお話しをするのですが、問題は私がまだ52歳の「若造」であることです。聴衆から、「若いからそんなことが言えるのだ」と思われると、本意は伝えられません。死を自分の問題として、前向きにとらえている高齢者がおられることは本当に貴重なことです。彼がこの曲を作ったのは88歳の時です。92歳で亡くなった時のお別れ会では、舟木さんや小林さんの弔辞の後、生前の望み通りこの歌に送られたということです。これからは医療講演で使ってみようと思います。CDは1200円ですが、インターネットでダウンロードすると2曲で400円です。

院長 笹壁弘嗣

新庄朝日 第643号 平成22年4月15日(木) 掲載

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