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院長コラム

Vol.90 徳洲会グループの選挙違反事件について

 昨年12月に行われた衆議院選挙で、徳田虎雄理事長の次男である徳田毅(たけし)衆議院議員の選挙運動に関連し、東京地検特捜部が、公職選挙法違反容疑で、9月17日に徳洲会グループの東京本部と湘南鎌倉病院を家宅捜索しました。以後、この動きはグループ病院に広がり、当院も9月24日に家宅捜索を受け、関係書類を提出しました。

 これまでも徳洲会グループは選挙に深く関わってきました。今回の件は報道されている通り公職選挙法違反だと今では私も思います。当院も事務系職員を中心に9人が、鹿児島へ出張しました。このような職員の派遣は、昔から選挙のたびに行われており、徳洲会に長年在籍した者にとっては珍しいことではありません。私個人は選挙活動に関わったことはありません。正直なところ、日常の診療を行うことが大事で、選挙などどうでもよいと思っていました。そのため、お恥ずかしいことですが、このような職員の派遣が違法であるという認識はありませんでした。もちろん、徳洲会本部からの指示を黙認していたことに責任は感じています。このような形で家宅捜索を受け、職員が事情聴取されたことに対しては大変申し訳なく、結果的に違法行為に加担していたことに対しては深く反省しています。地域のみなさんを始め、職員とそのご家族に心からお詫びします。

 さて、この様な事態に対して徳洲会本部はいまだ職員に対してはもちろん、社会に対して十分な説明責任を果たしていません。型通りの「関係者の皆様への謝罪」と「捜査への協力姿勢」を示す文書は届きました。また、徳洲新聞の9月30日号では、「このような渦中でも徳洲会を励ます言葉をかけてくださる人がいます。これまでと変わらぬ姿勢で医療に励みましょう。」という内容の幹部の連名の文書も掲載されました。しかし、最も重要な事実関係の説明は一切なされていません。しかも、一部週刊誌では、幹部会と称する場で、徳田理事長から「徹底抗戦する」という方針が出たと報じられています。もしこれが本当であれば、何を根拠に徹底抗戦するのかを広く公開すべきです。報道されていることの中で、何が真実で何が虚偽であるのかを明確にすべきです。組織のリーダーとして常に考えなければならないのは、透明性を保ち説明責任を果たすということだと私は考えます。これらのことができない組織には未来はありません。

 初めにも述べたように、今回の公職選挙法違反容疑は逃れることができない事実だと個人的には認識しています。しかも、一部の職員の犯罪ではなく、組織的に計画されたものだと確信しています。この状況で誰とどのように戦うのか、私には全く理解できません。徳洲会は医療という極めて公益性の高い分野を担っています。そこから得た利益が、不正に政治献金として使われているという噂すら報道されています。そのようなことがないと、堂々と記者会見してくれることを切望していましたが、今のところその気配はありません。そこで、9月29日に「徳洲会グループの再生を願う有志の会」の一員として声明を出しました。

 徳洲会は今大きな危機に直面しています。徳洲会の危機は、この地域の医療への影響も少なくありません。当院は開院以来15年間、 職員一同が地道に励んだ結果、地域医療の一翼を担うまでになりました。今回のことで私には責任はありますが、他の職員は業務命令に従っただけで、何の罪もありません。その点は是非ご理解ください。これまで通り、この地で医療を続けていくためには、徳洲会は変わらなければなりません。この危機をチャンスと捉え、過去の負債を精算し、新しい徳洲会になるために、私は行動する所存です。

院長 笹壁弘嗣

平成25年10月3日(木)

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