平成25年11月2日に山形徳洲会病院で行われたブロック会議で鈴木新理事長に対して以下の4項目からなる提言書を提出しました。
1 外部からの理事などの招聘
これからの徳洲会グループの運営は、社会常識のある有識者を交えることで、独善的にならないことが肝要と思います。そのような有識者を理事などに迎える体制を作るべきではないでしょうか。
2 MS法人との関係の見直し
徳田前理事長が責任をもって見直すと約束されましたが、医療法人徳洲会としてMS法人との関わりを見直すべきではないでしょうか。MS法人自体を医療法人が変えることができないとの新理事長の説明は理解できましたが、どのように関わるかは医療法人側が主体的に決められるのではないでしょうか。
3 徳田毅代議士への議員辞職勧告
今回の公選法違反で騒がれている毅氏は、社会に対して何ら説明責任を果たしていません。また、国会に対しては登院手続きだけして本会議は欠席しています。このような不誠実な対応をする毅氏には徳洲会として議員辞職を勧告すべきではないでしょうか。
4 メディア対策
10月20日の理事会は寒い風雨の中で開催されました。敷地内立入禁止のため、報道陣は路上でカメラを構えていました。あれだけ広い病院なので、プレスルームくらい用意したほうがよいのではと思いました。
私は数人から取材を受けましたが、その際に複数の報道関係者から、徳洲会の職員に写真を撮られたということを聞かされました。また、コンビニまでついて来られたという者もいました。もしこのようなことがあったのであれば、「オウム真理教」を彷彿させます。自らに都合の良い記事を書いてもらう時はメディアに迎合し、都合の悪い時には遠ざけるのは、社会に対して誤解を与えるだけです。メディアに対してはオープンな姿勢を取るべきと考えます。手始めに、新理事長がこれからの徳洲会の進む道を記者会見でお話いただくのが最良ではないでしょうか。
それに対する理事長の答えは以下のようなものでした。
1 既に人選が進んでいる。理事に迎えることは賛成。
2 社長と副社長の辞任を受けて、11月のセミナーで説明。
3 色々な意見はあるが、個人的には政治家の進退に口を挟むべきではないと考えるので、今のところするつもりはない。
4 難しい問題。メディアは自ら作った物語を報道するという前提でしか取材しない。今のところ積極的に対応する気はない。
それ以外に、鹿児島へ派遣された職員の交通費はバカにならない(当院の場合は飛行機代だけで約8万円)が、それはどこから出ていたと認識しておられたかを質問しました。鈴木理事長は考えていなかった、湘南厚木病院長でもある篠崎専務は、自分も含めて病院からチケットを貰ったのでボランティアとは認識していない、とのお答えでした。
その後の経営分析では、患者数・収益とも減少しているが、これは今回のことが原因であり、理事長自らの責任と考えているとのお話でした。
今後の徳洲会の運営は、誰が舵取りをしても大変だと思いますが、今回のことをきちんと総括して、社会への責任を果たせば、微調整は必要であるにしろ、これまで通りの方針で、何とかなるのではないかというのが私の考えです。なぜなら我々は本業の医療の分野でつまずいたわけではないからです。だからこそ、負の遺産をキチンと検証しましょうと訴えたかったのです。
最後に徳田虎雄氏への以下のような伝言もお願いしました。
はじめの段階で、「選挙違反は全て自分の責任である。今後は組織的な政治活動と決別し、毅は議員辞職させ、親族はMS法人から手を引かせるから、これまでの徳洲会の医療に対する理念を引き継いで皆で頑張って欲しい」と仰っていれば、その後の展開は違っていたのではないでしょうか。すべての責任は自分にあると声明を出しておきながら、選挙活動への関与を認めないのは矛盾しています。年齢的にも「徳田虎雄物語」はエピローグを迎えています。いろいろ間違ったこともしたが、最後は自ら責任をとって潔く幕を引いたという評価を得られる機会を逸したのは、まさに「晩節を汚す」ものです。徳田虎雄ともあろうものが、なぜもっと「名」を惜しまなかったのかが私にはわかりません。
院長 笹壁弘嗣
平成25年11月7日(木)
・過去に新庄朝日等に掲載されたコラムがご覧いただけます。