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院長コラム

Vol.95 徳洲会グループから逮捕者

 11月12日に公職選挙法違反容疑で徳洲会グループから6人の逮捕者が出ました。2人は徳田虎雄前理事長の親族、残り4人は事務系の幹部職員です。今回の選挙活動は明らかに組織的に計画されたことであり、逮捕者が出るのは当然です。これまでも徳洲会は選挙と深く関わり、逮捕された職員も少なくありません。徳洲会の選挙の手法は、30年以上にわたって前理事長が中心になって作り上げてきたものです。

 今回はこれまでと違って、捜査の手が初めから中枢の犯罪を暴こうとしています。これまでは末端の運動員を逮捕し、そこから上に向かって捜査を広げていったのですが、その途中で「自分が指示した」という者が出てきてそこで捜査が終わってしまったのです。まさにトカゲの尻尾きりで組織は延命してきました。ところが、今回は健康上の理由で身柄は拘束されなかったものの、徳田虎雄氏が初めから容疑者の扱いを受けています。

 なぜこのような違いが生じたかを考えると、2つの理由があるように思います。一つは、徳田ファミリーとの権力闘争の末に懲戒免職になった徳田虎雄氏の側近中の側近であったN氏が、詳細な情報を検察に流したからです。もう一つは、難病のため言葉を発する事ができなくなった徳田虎雄氏は、目で文字盤を追い、それをそばに仕える職員が読み上げ記録してきましたが、その記録が残されたパソコンが検察に押収されたからです。

 選挙違反については自ら非を認め、政治活動と縁を切り、毅氏を議員辞職させ、親族をMS法人から手を引かせ、後進に道を譲って本業の医療に励むべきでないかと、私はこれまでも一貫して発言してきました。それに対して、理事会やブロック会議での質疑応答と今回の鈴木理事長の「謹告」からは、期待される回答はありません。もはや徳洲会には自浄能力がなく、司法による圧力に頼らないと、再起できないのでしょうか。

 今月の経営戦略セミナーで新体制やMS法人との関係性について説明があるそうです。その前に逮捕者が出たのはよいことです。このような厳しい現実を、執行部がどのように受け止めているかが示される場にもなるでしょう。いずれにせよ現場で働く我々にできることは、目の前の患者さんや利用者さんに全力をつくすことです。このような発言を続けながら、これまで通り仕事をすることが私の責任のとり方です。

院長 笹壁弘嗣

平成25年11月16日(土)

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