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院長コラム

Vol.128 病院に持ち込まないほうがよいもの

1 病気
 冬期間はノロウィルスによる感染性胃腸炎やインフルエンザが流行します。どちらも感染力が強く、高齢者や抵抗力の落ちた人は死に至ることがあります。感染の機会を減らすために流行時期には面会を制限します。特に子供は手洗いや咳エチケットなどの感染予防対策を守れないので要注意です。せっかく遠方から来たのにと不満もあるでしょうが、集団感染から死亡者を出さないためには必要なことなのです。

2 お金
 患者はお金の管理ができない状態のことが多く、保管場所も限られています。患者が不在の場合に、ベッドに置いていく人もいますが、不特定多数の人が出入りするので病院ほど盗難事件が起こりやすい場所はありません。お見舞金を病院の職員に預ける人もいますが、それは医療者の仕事ではありません。

3 栄養ドリンク
 「病人には栄養ドリンク」という思い込みはありませんか。栄養ドリンクに含まれているビタミンとアミノ酸は、通常の病院食で充足しているので追加する必要はありません。糖質は10%程度含んでいるので100ml飲むと40カロリーに相当します。何本も飲むと糖尿病患者は注意が必要です。栄養ドリンクによるカフェインの過剰摂取が原因で死亡した若者のニュースがありましたが、1本に含まれるカフェインはコーヒー1杯と同等以上です。興奮作用のために知らない間に不眠を助長することもあります。

4 生花
 科学的根拠は乏しいと思いますが、感染予防のために生花の持ち込みを禁止している病院もあります。生花は水の取り替え以外にも世話が必要です。これを看護師に求めるのは酷です。患者自身や付き添いの人ができないのであれば、避けるべきです。ユリや菊などのように香りの強いものはまわりへの影響があり、葬儀を連想させる花もあります。花好きの人には、管理が不要な生花や造花にしましょう。

5 生モノ
 食事は治療の一環なので、制限のある患者が多いと思います。死期の迫った人がぜひ食べたいものは、何でもよいと思いますが、回復を前提に入院している人には慎重に選ぶ必要があります。生モノは腐ることもあり、持ち込みは最小限にすべきです。

6 割れやすい食器
 プラスチック製の食器は味気ないので瀬戸物やガラス製がいいと思うかもしれませんが、病院という狭く不慣れな環境では破損やケガの心配もあります。割れやすい食器の持ち込みは控えたほうがよいでしょう。

7 まとめ
 病院への持ち込みは人も物も最小限に、患者が本当に喜ぶものに限定しましょう。

院長 笹壁弘嗣

新庄朝日第785号 平成28年3月15日(火) 掲載

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